エゾリスのすみか

エゾリス一家の生態について

さらば命懸けの日々よ

今週のお題「卒業」

3月いっぱいで6年間在籍した山岳会をやめます。
理由は結婚して子供が産まれるからです。

30歳を過ぎて山登りの楽しさを知った私は、さらに高い山、難易度の高い山を登るために山岳会の門を叩きました。
山岳会の事務所に、はじめて行った日の事は今でも忘れません。
どう見ても廃屋にしか見えない建物の2階に、ぼんやり灯りがついています。
階段は一歩ずつ踏みしめる毎に「ミシッ、ミシッ」と大きな音がします。
不気味でした。
山に行く前にここで遭難するんじゃないかと思ったくらいです。

中にいたのは、沢山のお年寄り。
それがすし詰め状態で、プロジェクターの映像を食い入るようにながめていました。
映像を見てびっくり。
それは氷の壁に人が2人くっついている映像でした。
間違った所に来てしまった。
これが最初の印象でした。

それから私の本当の山登りを知る日々がはじまりました。
最初の頃は山の中で、今日こそ自分が死ぬ日かもしれないと何度も思いました。
最初の沢登りでは、滝の中で身動きが取れなくなって溺れそうになっているのに、助けてもらうどころか滝の中で怒られました。
最初の岩登りでは恐怖で脚が震えすぎて動かなくなりました。
超人としか思えないおじいさん達が助けてくれました。
真冬のトムラウシでは-30℃の中で震えながらキャンプをしました。
よく体力も頭も普通の私が、大きな怪我も無く生きていたものです。
頑張ったね自分。
でもそんな山ともお別れです。
しばらくは。
いつか戻ってきます。
それまではチビとハイキングでもして、体力をつけておこうと思います。